スーザン・クウィンティン、株式インデックス・プロダクト部門マネージング・ディレクター
パッシブ投資が多額の投資家資産を捕捉し、認知度を高めるに従い、インデックスは投資プロセスに深く根付いてきました。このため、インデックス・ベースの投資に対する投資家の満足度が高まる中、業界の一部でインデックスの開発や管理の複雑性が理解されていないのは驚くに値しません。その結果、ファンドに占めるインデックスのコストは通常、わずかであるにもかかわらず、コスト削減の手段としてインデックスの自社構築を検討する資産運用会社が増加しています。
資産運用会社は、インデックスを自社構築することにより、インデックスや関連知的財産権を保有、管理しています。資産運用会社が指数連動型プロダクトの形態で競い合って独自の知的財産権を市場に送り出す中、各資産運用会社は異なるインデックス構築手法を採用するとともに、多くの場合、インデックスの自社構築に様々な組み合わせの枠組みを用いています。つまり、インデックスの算出とガバナンスをアウトソーシングする一方、社内のインデックス部門を通じてインデックスの算出とガバナンスのすべての要素をインソースするなどです。
しかし、インデックス・プロバイダーの役割を軽くとらえるべきではありません。規制環境下でグローバル・インデックスをリアルタイムで運用することは、見た目ほど容易ではありません。社内に十分な人数のインデックスやデータの専門家がいるのでしょうか。データやインフラ、そしてガバナンスに資金を投じたいと思いますか。投資家に費用削減効果をもたらすだけの望ましい規模や利益を達成できますか。ブランドや投資家に影響を及ぼすようなリスクは取れますか。
こうした質問に答えることは簡単ではありません。非常に多くの資産運用会社や投資家がFTSE Russellのような長年の経験を持つインデックス・プロバイダーを高く評価し、信頼するのはこのためなのです。優れたインデックスを確実に構築しアウトプットするためには以下の3つを検討することが重要と思われます:
- 正確で信頼に足る情報を届ける強固なデータ管理プロセス。 インデックスの構築には、まずカスタマイズされた自動化ソフトウェアによりデータ収集環境を構築することが必要です。市場全体を対象とする「シンプル」なインデックスでさえ、必要なデータ量は膨大です。FTSE Russellのユニバースは80,000社以上、約100,000銘柄、230,000超の上場証券で構成されています。これは、1年間に数億個ものデータ項目の処理が必要であり、FTSE Russellが抽出・変換し、リサーチャーのレビューのために意味のあるデータに転換するフィールド数なのです。これらのデータはすべて、保管し、読み出し、そして何よりも正確で信頼に足るデータであるよう、インフラの追加投資が必要になります。
- 市場のリアルタイムの反映と投資可能性や取引高基準のバランスを取るためのインデックスに関する専門知識。インデックスは、市場やその規模、スタイル・セグメントを正確に反映するよう、様々な理由から定期的にリバランスしなければなりません。インデックスは様々な時点で様々な手法でリバランスされます。例えば、Russell US Indexは毎年6月、極めて正確な日程に合わせてリバランスされます。同様に、FTSEのグローバル・ベンチマークの市場分類が正確で最新の状況であり続けるため、FTSE Russellは機関投資家コミュニティや国内市場当局と緊密に連携して、グローバル・ベンチマークの国分類を先進国、第一新興国、第二新興国またはフロンティアに見直します。インデックスのこうした決定的なプロセスや、他の多くの重要な維持管理事項には、膨大なリソース、インフラ、そして手法が必要になります。
- 規制の変化に対応するための包括的なガバナンスの枠組み。ガバナンスの枠組みの構築と管理はインデックス・プロバイダーのコア・コンピテンシーです。FTSE Russellは3本の防衛線を持つ包括的な枠組みとインフラを構築しています。この枠組みは、第1ラインの経営幹部の代表メンバーから成る専門的な意思決定組織、第2ライン(リスクおよびコンプライアンス部門)の代表メンバーから成る監督委員会、第3ライン(監査部門)の管理者で構成されるとともに、ベンチマーク手法、インプットデータ、対象市場に関する専門知識を持つ市場実務者から成る複数の独立した外部諮問委員会からも支援を受けています。
すべて上手く回転しているため、外から見ると非常に簡単に見えます。このため、すべてのプロセスを社内で行うことが魅力的に思えます。しかし、独自の知的財産権や資産管理といったコア・コンピテンシーに注目し、実績のあるプロバイダーにインデックスの管理をアウトソースすることで、資産運用会社は巨大な規模やデータ、ガバナンスを利用することが可能になります。同時に、インデックス・プロバイダーとアームスレングスの関係を維持することで、潜在的な利益相反を避け、取引先に対するエラーのリスクを低下させることができます。
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